Room1
【 Shin Iguchi solo exhibition 】
井口 信 “ 翔る “
2024.10.25(Fri) - 11.9(Sat)
Close : 日・月・火曜 / Sun, Mon, Tue
12:00-19:00 最終日17:00まで / The last day until 17:00
*レセプションパーティーはございません。
s+arts(スプラスアーツ)より、井口信 個展「翔る」の開催をお知らせいたします。
和紙に岩絵の具や箔などを用い、伝統的な日本画の技法で独自の世界を創り出す井口信は、日々の生活の中で感じた自然の美しさや畏怖、生命の輝きを動物の形等を組み合わせることで表現しています。年齢や性別、国境など、様々な垣根を越えた人間の根底にある美意識に働きかけるような作品を描くことを目指しています。
井口の作品に描かれる動物や樹々はいつも、穏やかに凛とした佇まいで画面に現れ、まるで何かを守っているかのような神秘的な印象を受けます。広大な自然が持っている命のエネルギーが躍動感溢れる力強いタッチで描かれることもあれば、モチーフとなる動物にまつわる情景が、心落ち着く優しい趣で描かれることもあります。命のエネルギーや神秘性をテーマに、力強さと儚さを兼ね備えながらも、繊細なタッチで描かれる井口の作品は、日本画特有の物質感、そして彼自身の技術と感性が混じり合いながら、彼の追求する情景が美しく表現されています。
「メリーゴーランドは子供にとって非常に魅力的な乗り物である。我が子も遊園地に行くと必ずメリーゴーランドに乗りたがる。
メリーゴーランドは子供たちに夢を見させる乗り物であるが、その煌びやかな装飾性、少し古びた木馬の老木のような温もり、同じ所を周回する動き、あっという間に終わってしまう時間は私にとっては美しさと儚さを感じさせる。
大作の「翔」は、描くにあたり夢や木馬、翔るというイメージから着想を得て、
これまでの制作スタイルでもある動物と植物が融合した表現に重ねながら新たな表現を試みた。
また、これまで駆け抜けてきた画業を振り返り、我武者羅にもがきながらも木馬のようにその場から一歩も動けていない気さえする。
そんな葛藤も作品に重ねて表している。
回転木馬のようにその場所で朽ち果てようと、時に面倒臭く辛いことでもあるとしても、
私にとって絵を描くことは、自分らしくいるために必要不可欠な行為であると改めて実感した。 」--- 井口信
本展「翔(かけ)る」では、近年描かれている作風に比べ、繊細ながらもより力強い印象を受ける作品が多く見受けられます。細部にまで様々な拘りを含ませて巧みに描かれる井口の作品からは、自身の制作へ向ける強い意志が垣間見られるようにも感じます。今回は、動物以外に爬虫類も多くみられ、井口が制作を始めた頃を彷彿とさせることでしょう。また、大きな特色の一つとも言える、描く対象となる動物に草花等の植物を施す表現の他、人物と動物や人工物が融合したようなモチーフ等も現れ、より表現の幅を広げたといえる作品を発表いたします。これを機に、自身にとっての制作の重要性について再認識し、「夢」や「翔」を意識して描かれた井口信の新作群を是非ご高覧ください。