Room 1【 Emu Nagasaka solo exhibition 】
長坂絵夢 “ material breathing ”
2022.9.30(Fri) - 10.9(Sun) 会期中無休
12:00-19:00
*最終日17:00まで / The last day until 17:00
*レセプションパーティーはございません。
s+arts(スプラスアーツ)より、長坂絵夢による個展「material breathing」の開催をお 知らせいたします。
人と素材、その根源にある密接な関わりについて見つめなおす事を制作テーマとし、鉄という一つの物質から垣間見える、生の姿に関心を抱き素材として扱い続けている長坂絵夢は、平面、立体、インスタレーションなど様々な形態で作品を発表している作家です。
生命において不可欠な物質であり、産業の基盤材料としてもなくてならない素材である鉄は、あらゆる形で我々の身近に存在しています。人々の暮らしや現代の風景を作り出してきた鉄は、生命の根源に繋がる物語を多く秘めていると彼女は考えます。本展「material breathing」では、自然物としての在り方を辿り近年制作を続けている「fallen leaves -corrosion-」と、平面による「material for material」の二つの作品シリーズで構成をいたします。
「自然現象から成るもの、それらを資源とし私達はこの惑星に生きている。日常に目にし、手にしている物が何により、どの様にしてつくられたのか、その認識はどこまで及ぶだろう。絶えず様々な融合を重ね数限りないものが生み出されている世界で、素材の成り立ちを知る。それは人間の営みを改めて知る事となり、その先には自然との関わりや生命の在り方もみえてくる。「Material / 素材」、その存在は私たちが生きているこの世界の痕跡を残す貴重な記憶媒体となる。
鉄は元々、自然環境の中で酸素と結びついた状態で存在している。山や川、海の中にある「酸化鉄」が資源となり、人の手によりあらゆる素材となって生活に取り込まれている。鋼材や顔料、磁気材料などそれは多岐にわたる。中でも身近なもので、現代の製鉄の原料である「鉄鉱石」も酸化鉄の一つである。製鉄は鉄鉱石から酸素を取り除き、様々な元素を加えて生成していく。しかしそこで酸素を失った鋼材の鉄は、本来より不安定な状態となるため酸素のある環境ではいずれ錆びていく。それは元の状態へ戻ろうとする自然な現象であり、目にみえない酸素の存在が可視化される瞬間でもある。そしてこの現象を通して、鉄を改めて自然物として捉えることができる。
今回二つの作品では改めて「酸化」が重要な要素となっている。酸素のある地球上の素材であるからこそ起こりうる自然現象に焦点を当て、素材の原点を辿っていく。」---- 長坂絵夢
鉄は朽ちればやがては土に還るという自然循環のサイクルや、長い時間をかけて地球に資源が生まれ、鉱石の層のような構造がつくられる、というような広大な自然の括りの中で、鉄の存在と我々との密接な関係性を見出そうとしています。産業材料としての印象が強い鉄ですが、長坂の作品に内包される壮大な物語を垣間見ると、我々の生活が大自然に支えられ成り立っていることを改めて意識するよう、その存在を持って伝えてくれているようにも感じます。鉄の強さや美しさに惹かれ拘る長坂絵夢の新作群を是非ご高覧ください。
長坂 絵夢 Emu Nagasaka
1982 東京生まれ
2005 多摩美術大学 美術学部 工芸学科 金属プログラム卒業
個展
2022 「material breathing」 s+arts(東京)
2020 「fallen leaves -corrosion-」CABANE de ZUCCa 南青山・代官山店(東京)
2019 「echo -steel works-」ギャラリー南製作所(東京)
2017 「fallen leaves -corrosion-」JFE スチール株式会社 日比谷本社 23 階(東京)
「fallen leaves -corrosion-」 多摩川オープンアトリエ 2017 / Gallery hasu no haha(東京)
2015 「fallen leaves -corrosion-」星野リゾート奥入瀬渓流ホテルArts cube 奥入瀬 ( 青森・十和田)
2014 「It's close to sleep」 Shonandai MY Gallery(東京)
「border」 Gallery hasu no hana(東京)
2013 「AN ISLAND」島嶼 / 永春堂美術館(台湾・台中市)
グループ展
2022 「神の興」takase(埼玉)
2021 「sign of existence」s+arts(東京)
2019 「素材と内面」s+arts (東京)
2018 「OPEN STUDIO 2018」ART FACTRY 城南島
2017 「滑空」長坂絵夢 山根朋子 YAMANEMU 展/ MITSUME(東京)
2015 「WILL」Shonandai MY Gallery(東京)
2012 「OWN30」それぞれの 30 /遊工房アートスペース(東京)
2011 「長坂絵夢・井澤由花子展『Solid memory, Liquid scapes』」 アルマスギャラリー(東京)、他参加
アートフェア・イベント
2016 「ART FAIR ASIA FUKUOKA2016」雅景錐 GAKEI GIMLET SAAS・ホテルオークラ福岡(福岡)
「3331アートフェア」遊工房アートスペース・3331 Arts Chiyoda(東京)
2014 「外の外展」en dehors du dehors ブザンソン美術大學-ISBA図書室(フランス)
「ART APART ART FAIR 2014」Shonandai MY Gallery・PARKROYAL Pickering Hotel(シンガポール )
2013 「EMERGING DIRECTORS’ ART FAIR: ULTRA 006」出展ディレクター:山本知青 (Shonandai Gallery)・スパイラルガーデン青山(東京)
2012 「YOUNG ART TAIPEI 2012」シェラトン台北(台湾・台北)
2011 「YOUNG ART TAIPEI」サンワールド ダイナスティホテル台北(台湾)
「LOVE FOR NIPPON 366ART HEAT COCORO」PARCO FACTRY(東京)、他参加
講演会・トークイベント
2020 「鉄鋼販売業組合・若手合同交流会」HSB鐵砲州(東京)
2017 「町工 BAR Vol.19 循環する鉄」/くりらぼ多摩川・工場棟(東京)
2016 「全国厚板シヤリング工業組合 青年会」/鉄鋼会館(東京)
受賞歴
2011 『新潮賞受賞』「YOUNG ART TAIPEI 2011」 サンワールドダイナスティホテル台北 (台湾・台北)