Room 2【 sign of existence / Keisuke Iwae , Emu Nagasaka 】
“ sign of existence “ 岩江圭祐 / 長坂絵夢
2021.4.30(Fri) - 5.9(Sun) 会期中無休
12:00 - 18:00(最終日17:00まで)(The last day until 17:00)
*レセプションパーティーはございません。
s+arts(スプラスアーツ)より、岩江圭祐と長坂絵夢による二人展「sign of existence」の開催をお知らせいたします。
鉄を素材として扱い、平面、立体、インスタレーションなど様々な形態で作品を発表している両者。掲げるテーマや制作への姿勢は異 なりますが、どちらも鉄という素材に秘められた可能性に魅せられ、その物質の特異性と自身の表現との交わりを確かめるようにして 作品を成立させています。
岩江圭祐は、日常で感じる少しの違和感のようなものを手がかりに作品を制作しています。制作へのモチベーションは常に “無い” こ とへの眼差しから始まり、目には見えないけれど感じる“もの”や“こと”が、在ることよりも豊かであるように感じると考えます。本展で は、溶かした鉄を少しずつ溶接し、身の回りにある物のアウトラインに沿って囲っていく、という方法で制作された新作を発表いたし ます。内側のモチーフは制作工程で熱が伝わり、徐々に原型を失い、最終的には焼かれて無くなりますが、物が消失する引き換えに、 作家の記憶には形のイメージがより強く残ると言います。内にあった輪郭のみが残ることで、モチーフと空間との曖昧な境界線ができ、 それに伴う様々な記憶が想起されるのです。工業製品としての鉄のイメージは強固で無機質ですが、溶けると柔らかく、有機的な形 が冷めて固まるまでの少しの間存在します。その刹那的なイメージを内側に在ったはずのものと重ね合わせているのです。人を含め、 身近な存在が目の前から無くなることで初めて気付かされる強い想いや記憶があるということを、作品を通じて示唆しているようです。
長坂絵夢は、人と素材、その根源にある密接な関わりについて見つめなおす事を制作テーマとし、鉄という一つの物質から垣間見え る生の姿に関心を抱き、素材として扱い続けています。生命において不可欠な物質であり、産業の基盤材料としてもなくてならない 素材である鉄は、あらゆる形で我々の身近に存在しています。人々の暮らしや現代の風景を作り出してきた鉄は、生命の根源に繋が る物語を多く秘めていると彼女は考えます。本展では、2015年より制作を継続している「Fallen leaves -corrosion-」と平面による 「Material for material」の二つの作品シリーズを発表いたします。鉄は朽ちればやがては土に還るという自然循環のサイクルや、 長い時間をかけて地球に資源が生まれ、鉱石の層のような構造がつくられる、というような広大な自然の括りの中で、鉄の存在と我 々との密接な関係性を見出そうとしている作品群です。鉄の強さや美しさに惹かれ拘る長坂の作品は、我々の生活が大自然に支えら れ成り立っていることを改めて意識するよう、その存在を持って伝えてくれているようにも感じます。
二人の鉄の作家による新作展を、是非お楽しみください。
岩江 圭祐 Keisuke Iwae
1987 東京生まれ
2014 多摩美術大学大学院美術研究科修士課程 工芸専攻 金属研究領域 修業
個展
2020 「formation」 ギャラリーイロ (東京)
2018 「使えない貯金箱」 ギャラリーイロ (東京)
2017 「WINE WORKS」 WINE WORKS (東京)
2016 「Sign」 Gallery Q (東京)
2015 「金属ノスタルジア」 gallery元町 (神奈川)
グループ展
2021 岩江圭祐/長坂絵夢 二人展 「sign of existence」 s+arts (東京)
2020 「瓜生太郎展」 GINZA SIX (東京)
2019 「ART / ARTISAN / KYOTO from PARCO」 RAURAUJI (京都)
2018 「PARCO の KYOTO 展」 PARCO IKEBUKURO (東京)
2017 「交差展vol.10」 CROCO ART FACTORY (神奈川)
2016 「WILL」 Shonandai MY Gallery (東京)
長坂 絵夢 Emu Nagasaka
1982 東京生まれ
2005 多摩美術大学 美術学部 工芸学科 金属プログラム卒業
主な個展
2020 「fallen leaves -corrosion-」CABANE de ZUCCa 南青山・代官山店(東京)
2019 「echo -steel works-」ギャラリー南製作所(東京)
2017 「fallen leaves -corrosion-」JFE スチール株式会社 日比谷本社 23 階(東京)
「fallen leaves -corrosion-」 多摩川オープンアトリエ 2017 / Gallery hasu no haha(東京)
2015 「fallen leaves -corrosion-」星野リゾート奥入瀬渓流ホテル Arts cube 奥入瀬 ( 青森・十和田 )
2014 「It's close to sleep」 Shonandai MY Gallery(東京)
「border」 Gallery hasu no hana(東京)
2013 「AN ISLAND」島嶼 / 永春堂美術館 ( 台湾・台中市)
主なグループ展
2019 「素材と内面」s+arts (東京)
2018 「OPEN STUDIO 2018」ART FACTRY 城南島
2017 「滑空」長坂絵夢 山根朋子 YAMANEMU 展 / MITSUME(東京)
2015 「WILL」Shonandai MY Gallery(東京)
2012 「OWN30」それぞれの 30 / 遊工房アートスペース(東京)
2011 「長坂絵夢・井澤由花子展『Solid memory, Liquid scapes』」 アルマスギャラリー(東京)、他参加
主なアートフェア・イベント
2016 「ART FAIR ASIA FUKUOKA2016」雅景錐 GAKEI GIMLET SAAS・ホテルオークラ福岡(福岡)
「3331 アートフェア」遊工房アートスペース・3331 Arts Chiyoda(東京)
2014 「外の外展」en dehors du dehors ブザンソン美術大學-ISBA図書室(フランス)
「ART APART ART FAIR 2014」Shonandai MY Gallery・PARKROYAL Pickering Hotel(シンガポール )
2013 「EMERGING DIRECTORSʼ ART FAIR: ULTRA 006」出展ディレクター:山本知青 (Shonandai Gallery)・スパイラルガーデン青山 ( 東京 )
2012 「YOUNG ART TAIPEI 2012」シェラトン台北(台湾・台北)
2011 「YOUNG ART TAIPEI」サンワールド ダイナスティホテル台北(台湾)
「LOVE FOR NIPPON 366ART HEAT COCORO」PARCO FACTRY(東京)、他参加
講演会・トークイベント
2020 「鉄鋼販売業組合・若手合同交流会」HSB 鐵砲州 ( 東京 )
2016 「全国厚板シヤリング工業組合 青年会」/ 鉄鋼会館(東京)
2017 「町工 BAR Vol.19 循環する鉄」/ くりらぼ多摩川・工場棟(東京)
常設展示
2018~ JFE 鋼材 株式会社 エントランス(東京)
受賞歴
2011 『新潮賞受賞』「YOUNG ART TAIPEI 2011」 サンワールドダイナスティホテル台北 (台湾・台北