【 “ tsu zu ki “ Nana Hirakawa / Saki Makita / Tamako Yamada / Hikari Yamaguchi / Makiko Yuasa 】
平川菜々 / 牧田紗季 / 山田珠子 / 山口ひかり / 湯浅万貴子

2024.2.23(Fri) - 3.9(Sat)
日・月・火曜休廊
12:00-19:00 最終日17:00まで / The last day until 17:00
*レセプションパーティーはございません。

左:平川菜々 " take off_2 " acrylic on canvas 22.7×15.8cm 2023
上:山口ひかり " pool " 銅、七宝 2.5×20×19cm 2023
右:湯浅万貴子 " Gestalt (追思) ⅱ" acrylic, aluminiumleaf, ink on panel 53×45.5cm 2024
下:牧田紗季 " 空を飛んだ日 " 高知和紙、水干絵の具、岩絵の具 53×45.5cm 2024
中央:山田珠子 " granding animal " 布 19×14×7cm 2023

s+arts (スプラスアーツ)より、平川菜々、牧田紗季、山田珠子、山口ひかり、湯浅万貴子によるグループ展「tsu zu ki」の開催をご案内 申し上げます。

平川菜々は、服飾学校やアパレル会社での服を制作する側の経験を元に、「服と人」を主なモチーフとして作品を制作しています。
昔から人をモチーフに絵を描く時は、必ず服を身に纏った人を描くという平川は、服飾に携わり造り手側になってから、幼少の頃には意識していなかった“当たり前”に気がつきました。「当たり前に描くのは人が当たり前に着ているからであり、その当たり前を造っている人もいる。そんな当たり前を意識することで少しあたたかい気持ちになれる。服を造る側から描く側になった今、温度感を視覚的に伝える絵画のモチーフの一部として服を取り入れ描く。」アクリル絵の具や油絵の具、時にはコラージュ等も用いながら大胆にキャンバス に描かれる平川の作品は、独自の視点で情景が切り取られ、観る者にほんの少しの「?」と「笑顔」を与えてくれるようです。

牧田紗季は、現実の世界で生活することによって生じた、心の澱(よどみ)を絵画に昇華させたいという想いから、重力から解放された 夢の中のような浮遊感のある情景を、日本画の技法を用いて描きます。過去の記憶、夢の世界といった「ここではないどこか」を切望 する気持ちは、ある種の現実逃避願望の現れになっているとも言えるでしょう。「身体は現実の世界から離れることはできません。過去と未来、夢と現実を行き来しながら、どうしても「いま」「ここ」に生きなければならないという葛藤は、きっと多くの人が感じたことがあるのではないでしょうか。」と牧田は語ります。夢のような世界への憧れを作品に織り交ぜながら、現実で生じた、不安や孤独感、悲しみや痛みなど、負の感情を形にするようにして、日本画の温かみのある色味と質感により、美しく、どこか希望を求めるようにも感じられる作品を制作しています。

山田珠子は、制作過程で染色した布を土に埋め、微生物によって分解・腐食させた布を蝋型に貼り付け、壺や動物などの立体作品を制作している作家です。時間や生命などの果てない廻りの中で、事物が変化していく大らかな道のりを観察し、自然・時間・人が緩やかに繋がるような表現を心がけていると自身の制作について話します。彼女の大切にしている「曖昧で大らかな関係性」を心がけて作られた作品は、色、形、用途など、様々な面において緩い印象が特徴的ではありますが、一度土に埋められた布を蝋型で形成し、火にかけることで、時間軸やその中で起こったであろう様々な背景が上手く交じり合い、大変興味深い存在感を放っているように見受けられます。

山口ひかりは、主に銅板と七宝の偶然的な着色反応に着目して制作しています。薄い銅板をキャンバスとし、自然と表れる線や点のドローイングを七宝で描きます。銅板を酸化・還元させることによって得られる自然な色味と七宝による鮮やかな色彩に無限の可能性を感じているという山口は、ありふれた情報や数え切れないほどの人工建造物の中で生きる私達は、子供の頃、見るもの全てに感じた 驚きと感動、満ち溢れていた好奇心、あらゆるものへの直感力を失いつつあると考えます。「忘れてはいけないのは、初めて触った土の感触や匂い、木は大きくてあたたかいことなど、いつまでも純粋な心であること。」と語る山口。自身の感覚に素直に導かれ制作された彼女の作品は、銅と七宝という存在感のある素材を用いながらも、どことなく愛らしい印象を観る者に与えます。

湯浅万貴子は、アクリル絵の具と純銀箔や色箔を用いて構成された背景に、人間の身体や木の根などのモチーフをデフォルメした点描画で表現しています。彼女が描く身体的フォルムは、箔で無機質に作られた絵画空間と点の集合体で生み出されたモチーフが絶妙に交わることで、繊細な美しさが引き立てられています。また、近年では、モチーフの中で“ズレ“を生じさせ、点描に時間軸の交差を試 みることで動きが見られるような作品、コラージュ作品やポエム、他アーティストとの活動など、積極的に自身の表現の場を広げています。

今回は、何かの延長、その先に続くもの、という意味合いを込めて展示タイトルを「tsu zu ki」といたしました。制作技法やテーマも異なる5人の作家による作品が、観る者にとって何かに繋がることが出来れば幸いです。これを機に是非ご高覧ください。


平川 菜々  Nana Hirakawa
1997 大阪府生まれ
2020  文化服装学院アパレルデザイン科卒業
現在 山梨県に在住、制作

展示歴
2024 「tsu zu ki」s+arts (東京)
2023 代官山alloy space
Independent Tokyo2023 (s+arts 山本知青賞)
WHAT CAFEXHIBITION Vol.32


牧田 紗季  Saki Makita
1990 鹿児島県生まれ
2013 京都精華大学 芸術学部 造形学科 日本画コース 卒業
2015 多摩美術大学大学院 修士課程 絵画専攻 日本画領域 修了

個展
2023 「やわらかのその先」 s+arts(東京)
2020 「こころの奥には何がある」 s+arts(東京)
2016 「つめたいまどろみ」 画廊・珈琲Zaroff(東京)
2015 「白昼夢と投身」 アートスペース88(東京)
「耳鳴りの間(東京)」 ギャラリー椿(東京)
「耳鳴りの間(大阪)」 アートスペース亜蛮人(大阪)

主なグループ展
2024 「tsu zu ki」s+arts (東京)
2022 「30の顔」 REIJINSHA GALLERY(東京)
「227no158 -mm-」 ギャラリー子の星(東京)
「blue in heaps」 s+arts(東京)
2021 「かさなる波紋」 s+arts(東京)
2020 「アートのチカラ」 伊勢丹新宿店(東京)
「山本冬彦が選ぶ若手作家小品展Ⅵ」 枝香庵(東京)
2019 「思い思いのプロフィール」 artTruth(東京)
「KENZAN2019」 新宿パークタワー(東京)
「素材と内面」 s+arts(東京)
2018 「式日」 ギャラリー子の星(東京)
「Roppongi α Art Week」 Shonandai Gallery(東京)
2017 「羅針盤セレクション」 アートスペース羅針盤(東京)
2016 「spring show」 ギャラリー椿(東京)
2015 Rieko Honma Photo Exhibition「Sink Into The Dream」 ゲスト出展 / gallery NIW(東京)
2014 「Octet-2014 多摩美術大学大学院 日本画専攻2 年生展-」
佐藤美術館(東京)
「欲望少女」 デザインフェスタギャラリー(東京)
「狂気乱舞」 アートコンプレックスセンター(東京)
2013 HOTサンダルプロジェクト「2013未来の収穫祭」
丸亀市生涯学習センター(香川)
2013 ユニグラバス小品展」ギャラリーUG(東京)




山田 珠子 Tamako Yamada
1993 東京都生まれ
2018 武蔵野美術大学美術学部工芸工業デザイン学科テキスタイル専攻 卒業
2021 東京藝術大学院美術研究科工芸専攻染織領域 修了

個展
2019 「内と外」神田 URATE(東京)
2018 「芒種 -Vauche-」丘の上 APT/ 兒嶋画廊(東京)

グループ展
2024 「tsu zu ki」s+arts (東京)
2023 「TRACING THE ROOTS ~ 旅と手しごと」ヒルサイドフォーラム(東京)
「a・i・m・a・i」s+arts(東京)
2022 「TRACING THE ROOTS ~ 旅と手しごと」ヒルサイドフォーラム(東京)
Milano Salone「VITA LENTA」Isola Design District(ミラノ / イタリア)
「dining」ギャラリースペース M(埼玉)
「イージーバターエントランスカーテンホール」house t(東京)
「Progress - 石の時・布の時間 -」s+arts(東京)
2021 「LOOK INTO THE CURVE」mulch standard(東京)
「s+arts summer exhibition」s+arts(東京)
「残在共鳴 第三章」RITMUS(佐賀)
「東京藝術大学修了作品展」東京藝術大学大学美術館 (東京)
2020 「溶け合う異素材」チニアシツケル(京都)
「Beautiful Miss- 美しき失敗たち。-」チニアシツケル(京都)
2018 「武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科
クラフトデザインコース卒業制作展」スパイラルガーデン(東京)



山口 ひかり Hikari Yamagichi
1993 札幌市生まれ
2017 武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科金工専攻 卒業
2019 武蔵野美術大学大学院造形研究科デザイン専攻工芸工業デザインコース金工専攻修

展示
2024 「tsu zu ki」s+arts (東京)
2023 「dialogue」 s+arts (東京)
2022 「s+arts summer exhibition」 s+arts(東京)
「SUNS RIVER by MADE IN BANZAI」 渋谷PARCO 2F SPACE [BRIDGE] (東京)
「イージーバターエントランスカーテンホール」 house t (東京)
2021 「EQUALOOM」 渋谷宮下パーク/EQUALAND (東京)
「DESIGNART TOKYO 2021 "1-15-22 Apartment" by MULTISTANDARD」 (東京)
グループ展「rib」 WALLA (東京)
TALENTE2021 入選 (ドイツ)
2019 第三回宝龍芸術大賞 優秀賞 (上海)
武蔵野美術大学 優秀作品展 (東京)
武蔵野美術大学修士課程修了制作展(東京)
2018 武蔵野美術大学卒業制作展(東京)
2016 「素材のここち」 gallery hygge (東京)



湯浅 貴子 Makiko Yuasa
1988 新潟県生まれ
東北生活文化大学家政学部生活美術学科中退

個展
2023 「肯う地平」MEDEL GALLERY SHU(東京)
2022 「eimi ousia」金沢アートグミ(石川)
2021 「身に悖ること勿れ」 Medel Gallery Shu (東京)
「不変の前兆」 s+arts (東京)
2020 「静かな荒野」 s+arts (東京)
2014 湯浅万貴子展 Shonandai Gallery (東京)

グループ展
2024 「tsu zu ki」 s+arts (東京)
2022 「s+arts summer exhibition」 s+arts(東京)
2021 「Their collages」 s+arts (東京)
2020 「荒地のアレロパシー」
MITSUKOSHI CONTEMPORARY GALLERY(東京)
2019 「amrta」 s+arts (東京)
2018 「せんだいアンデパンダン展」 Gallery TURNAROUND(宮城)
「Composition」 Shonandai Gallery(東京)
2017 「Shonandai MY Gallery10周年開廊記念展」Shonandai Gallery(東京)
2016 「WILL」 Shonandai MY Gallery(東京)
2014 「MY duo展」 Shonandai MY Gallery(東京)
2012 「Roppongi αArt Week」 Shonandai MY Gallery(東京)
2011 「“petit”GEISAI#15 Point Ranking ふたり展」Hidari Zingaro Gallery(東京)

アートフェア
2015 「YOUNG ART TAIPEI」 (台湾)/ 出品:Shonandai Gallery
2012 「ULTRA 005」 スパイラルガーデン (東京)/ 出展ディレクター:山本知青 (Shonandai Gallery)

アワード
2011 「YOUNG ARTIST JAPAN vol.4 TOGBOAT」
Shonandai MY Gallery 山本美知子賞
「GEISAI #15」 来場者ポイントランキング第3位

掲載
2021 月刊アートコレクター7月号「ヌード 愛の美のちから」
2020 Webレビューとレポート(みそにこみおでん)
家船参加作家インタビュー /聞き手・KOURYOU
2018 美術の窓5月号「新人大図鑑2018」
2012 月刊アートコレクター9月号「新人アーティスト300人」

活動
2023〜 「M集会」
2019〜 「EBUNE」