Room 1
【 Tomiya Kato solo exhibition 】
加藤富也 “ return to the forest ”
2022.6.10(Fri) - 6.19(Sun)  会期中無休
12:00 - 19:00(最終日17:00まで)(The last day until 17:00)

*レセプションパーティーはございません。

“ シャンソン人形2 “ acrylic on panel 27×19cm 2022

s+arts (スプラスアーツ)より、加藤富也個展「return to the forest」の開催をお知らせいたします。

緻密な描写とも見える加藤富也の点描画は、事物の再現ではなく、空間に浮遊する素粒子のような「存在の気配」を抽出して再構成されています。全ての色彩を混合すると無彩色のグレーとなる中で、様々な色を感じさせるグレーを描くという、自身の基本表現から生まれる加藤の作品はどれも、一見落ち着いた色味で統一されているように見えます。しかしながら、目の前に広がる無数の点は、近くで見ればみるほどその鮮やかさが増し、気配を醸し出すための様々な色彩で溢れています。

本展「return to the forest」では、新しい試みとして、加藤が考えた物語を軸に制作された作品を展開いたします。

「架空の女性、森羅 美歩乃(しんら みほの)さんと、その化身である人形(シャンソン人形)に主人公として登場してもらうことにしました。先端的なIT企業に勤めながらも都会生活に少々疲れた30過ぎの独身女性という設定です。
彼女には深い森に囲まれた故郷があります。ある時、居眠りをした彼女は森に還り、森に同化する夢を見ます。
そのイメージを中心に据えて制作を開始することにしました。
今回の展示作品は抽象的なものから美歩乃さんを具体的に描いた作品まで様々なイメージが登場しますが、全て美歩乃さんの内面世界に関連付けての作品となります。」---加藤富也

自身の中に構築した世界で物語られるストーリーを作品にするという方法で制作することで、今まで頑なに守ってきた独自の制作理論が変わることになったと加藤は言います。通常、作家が感じたものを自身の個性を活かして作品を制作したり、むしろ個性を尊重したりすることが多い中、加藤の場合は、自己理論に従って自身の個性や感受性を長年制限してきました。今回は、それらを開放したことで、作品にも著しい変化が見られます。

点描を追求する上で、モチーフが何であれ、描かれたものは実は全て抽象であり、「点」の集積に過ぎないと考える加藤は、そこに確かに存在することで感じられるエネルギーのような気配を捉えることに重きを置いてきました。本展では更に、点描以外の可能性や絵画作品としての「豊かさ」も加え、自身が作画を始めた頃の初心に戻って追求することに努めています。

点描の繊細さと美しさを保ちながらも、開放感のある加藤富也の新作群を是非ご高覧ください。


加藤富也 Tomiya Kato
1955 神奈川県生まれ
1980 武蔵野美術大学油絵学科卒

個展・グループ展
2022 「return to the forest」/ s+arts(六本木)
2021 「転」 / s+arts (六本木)
2020 「環」- たまき - / s+arts (六本木)
2019 「点描画2019 -素粒子のように6-」/ s+arts (六本木)
2018 「点描画2018 -素粒子のように5-」/ Shonandai Gallery(六本木) 
2017 Shonandai Gallery 30th Anniversary Exhibition / 湘南台画廊(藤沢)
「点描画2017 -素粒子のように4-」/ Shonandai MY Gallery(六本木)
2016 「点描画2016 -素粒子のように3-」/ Shonandai MY Gallery(六本木)
2015 「点描画2015 -素粒子のように2-」/ Shonandai MY Gallery(六本木)
2014 「点描画2014 -素粒子のように-」/ Shonandai MY Gallery(六本木)
「地表の記憶より3 -素粒子のように、化石のように-」/ ギャラリー檜Plus(京橋)
2012 ギャラリー檜B(京橋)
2011 ギャラリー檜B(京橋)
2009 ギャラリー舫(銀座)
2008 ギャラリー舫(銀座)
2007 ギャラリー檜(銀座)
2005 ギャラリー舫(銀座)
2003~1999 ギャラリー檜(銀座)
2001 湘南台画廊 (藤沢)
1997 湘南台画廊 (藤沢)
1996~95 ギャラリー檜(銀座)
1993 ギャラリー檜(銀座)
1992 湘南台画廊 (藤沢)
1992~83 ギャラリー檜(銀座)

アートフェア
2018 Affordable Art Fair Singapore(シンガポール)/ Shonandai Galleryより
2017 Affordable Art Fair Brussels(ベルギー)/ Shonandai Galleryより

収蔵
沼津市庄司美術館
町田国際版画美術館
平塚市美術館
山梨県立美術館