Room 1
【 Shiori Ichikawa solo exhibition 】
市川詩織 " news ca(s)t "
2023.10.6(Fri) - 10.21(Sat)
Close : 日・月・火曜 / Sun, Mon, Tue
*レセプションパーティーはございません。
s+arts(スプラスアーツ)より、市川詩織による個展「news ca(s)t」の開催をお知らせいたします。
市川詩織は、人間と生き物の間に生まれる問題をモチーフに、シルクスクリーン版画やドローイング、ペインティング、時に立体等、様 々な技法で作品を制作しています。人間の影響を受けて変化していく生き物たちを描くことで、我々が抱える問題を客観的に見出し、また、言葉を持たない生き物の情動を探る時のように、多様な価値観を持って議論し問題と向き合うことを、制作を通じて模索しています。
「展覧会名にもしたメインのペインティング「news ca(s)t」は、マーティン ルイス氏(著)の書籍「ニュースになったネコ」から着想を得て制作しました。この本はBBCのキャスターであったルイス氏がひそかに収集した、ネコにまつわるニュースをまとめたもので、実際のネコの写真も含めた世界中の珍事件の内容が詳細に綴られています。それらの事件は、1人旅をしたネコや遺産を相続されたネコなど(残念ながら)仰々しく特番を組んで放送するには値しない取るに足らないものばかりですが、私の心を確実につかみ、一日をその事件にまつわる想像でいっぱいにするほどに魅力的なものでした。
それらが私の心を強く惹きつけたのは一体なぜなのかを考えてみると、渦中のネコに関して思いを巡らし、どうしてそのような状況になったのかを丁寧に想像し、時に笑い、どう解決すべきか思い悩んだ人間たちと、年月や文化圏を超えた一体感を感じたというのが理由として大きかったと思います。それらのネコのニュースは世界中から集められたにも関わらず、ネコたちについて理解しようとする周辺の人々の姿勢には共通点があるように思えたのです。私はそこに、価値観を超えた同じ何かを見たのかもしれません。文化が違えども、人種が違えども、どこかで人間全体に共通しているものの一つに触れることができたような。その体験は、私の背を力強く押してくれたようでした。
news ca(s)tという展示名ですが、展示する作品は全てネコの絵というわけではなく、同じように言語を持たぬ生き物(イヌ、蚊、ダニ等) がせっせと生きる姿を、普段の自分の体験にちょっとの想像を絡めて描いたものです。私があの本を読んだ時のような気持ちや問いが鑑賞者の中にも生まれ、何かのタイミングで皆さんの背を押してくれることを願っています。」--- 市川詩織
展示タイトル「news ca(s)t」は、ニュースキャスト(news cast)と猫(cat)を掛け合わせた造語で、早口で「ニュースキャット」と読みます。 本展では、様々な生き物たちの生活の一部がクローズアップされ、市川特有のグラフィカルなタッチでユーモラスに描かれています。 作品のサイズや形状も、登場する生き物や出来事に合わせてバラエティ豊かに展開され、鑑賞者を楽しませてくれると共に、市川が作品を通じて伝えたいことをより強く感じることが出来るようにも感じられます。
市川の作品には、「え?!」「こんなことある?」「そうかもしれない」等というように、観る者に驚きや問い、不確かな同意を与えるような内容が多く描かれています。それは、彼女が作品を、人々が議論を始めるきっかけを作る装置としての役割と考えているからなのでしょう。言葉がなく確かな答えを得ることが出来ない生き物を題材に議論をすることは、一見無意味にも見えますが、その議論を機会に、それぞれの人間のルーツや環境をお互いに知り、認め、一緒にその答えを探していこうという過程を生むと市川は考えています。そうすることで、自身の作品が、人々がお互いに許し合い認め合うことの出来る社会の足しになるようにと願い、制作を続けているのです。これを機に、市川詩織の新作展を是非ご高覧ください。
市川 詩織 Shiori Ichikawa
1993 埼玉県生まれ
2016 東京藝術大学 美術学部 絵画科 油画 卒業
2018 東京藝術大学 大学院美術研究科 絵画専攻 版画研究分野 修了
個展
2023 「news ca(s)t」 s+arts(東京)
「石の下の倫理」Gallery Soumei-do(東京)
2022 「downtime」 s+arts(東京)
2021 「STAYING PETS」 TAKU SOMETANI GALLERY(東京)
2020 「SLEEPING INSTINCT」 Gallery Soumei-do(東京)
2019 「FUNNY BONE 」TAKU SOMETANI GALLERY (東京)
2018 「Hey Human...( ねえ人間 ...)」 TAGBOAT ( 東京 )
「Shiori ICHIKAWA Drawing show!」 Nezu curry Luckey(東京)
グループ展
2023 「ON PAPER」 TAKU SOMETANI GALLERY(東京)
2022 「Art Fair GINZA」 MITSUKOSHI Ginza by tagboat(東京)
「ちょっと寄り道しませんか」 Nezu curry Luckey(東京)
「tagboat Art Fair 2022」 TOKYO PORTCITY TAKESHIBA(東京)
「ON PAPER」 TAKU SOMETANI GALLERY(東京)
2021 「pause・print・pause」 銀河 101(東京)
「版画のひきだし」東京藝術大学 藝大アートプラザ(東京)
「blooming sensations」 s+arts(東京)
2020 「s+arts summer exhibition」 s+arts(東京)
2019 「Sur and Smile」 s+arts (東京)
2018 「なでたような跡がある」 表参道画廊 ( 東京 )
2017 「Shotai Exhibition」 SO Fine Art Editions(アイルランド)
NEON Gallery, Wroclaw(ポーランド)
Medium Gallery, Bratislava(スロバキア)
「ZURETA / INTERNATIONAL CONTEMPORARY PRINTED ART」上海美術大学(中国) / 東京藝術大学(東京)
受賞
2018 INDEPENDENT TOKYO tagboat 特別賞