s+arts Room 1 【Ryoichi Hiratsuka solo exhibition 】

平塚良一

2019.3.22(Fri) - 3.31(Sun)会期無無休
12:00 - 19:00(最終日17:00まで)(The last day until 17:00)
Reception:3.22(Fri)18:00〜20:00

‘ sans titre 2019 s+ 51 ’ 墨、和紙、木製パネル 420×297mm

s+artsより、平塚良一の個展開催をお知らせいたします。

平塚良一は、独自の視点で見出された素材を用い、「現実を考える姿勢」について長年追求している作家だと言えます。彼のアプローチ方法はとても抽象的ですが、そこに含まれる意思は哲学的で、本質とは何か?としきりに問いかけてくるようです。
平塚の近年の作品といえば、パネルに落ち葉を接着し、その上に和紙を載せて輪郭や葉脈を黒く写し取るフロッタージュシリーズ、鮮やかな色彩を数ミリのずれに入れたフロッタージュに加えるシリーズ、規則的に小さなドットを配置したシリーズ、人型をした小さなフィギュアを配置した「開かれた孤独」シリーズ等、表現方法は多岐に渡り、平塚が常に新しい表現方法を探っていることが分かります。
「平面的な支持体に色をノリで貼り付けることも、壁に漆喰をつけていくことも、フィギュアをつけていくことも絵画だ」と平塚は語ります。このような発想に至るのは、1970年代初頭に絵画に関する根本的な問題提起をおこなったことで知られているフランスの「シュポール/シュルファス」の理論を引き継いでいるからだと言えるでしょう。
それまでは当然とされ問題にもされなかったような、絵画というジャンルを保証している社会的、制度的な側面について「シュポール/シュルファス」のメンバーは作家の立場から分析し、作品制作を試みました。そのために、絵画的なイメージを問題とするのではなく、絵画が現実空間の中での物体であることを顕在化しようとしたのです。当時フランスに留学していた平塚はこの運動を目の当たりにし、大きな影響を受けました。
平塚の言葉を借りるならば、「絵画は現実を描く場合と幻想を描く場合がある」。平塚の場合は前者であり、作品制作を通じて現実と向き合い、手仕事の跡を強調する物体であるかのように平塚の作品は生まれてきます。しかしながら、平塚の作品に繊細で幻想的な感覚を覚えるのは、現実を根拠に進化させている過程で、そこに醸し出されてくる雰囲気、心情、情緒においても本質を判断しているからではないでしょうか。現実と幻想という対極するものが交わり、鑑賞者により意味が広がっていくのが平塚の作品の魅力です。

本展では、墨を使用した新作を主に発表いたします。
同じ表現手法を用いながらもコントロールが難しい墨を使用することによって現れる予想外な表面を、何故か懐かしいと平塚は言います。自然現象なのか、記憶の中に残された風景なのか、そこへ様々な方法で手を加えることにより、自身が存在している証を残して行くのです。様々な素材を扱う技術に長けている平塚が、偶発的に発生する自然の不思議に対し、作品制作を通じて模索いたします。平塚のアトリエの片隅で彼の制作風景を何年も見守ってきたであろう過去作品も一部出品予定です。これを機に是非ご高覧ください。


平塚良一 Ryoichi Hiratsuka

1947 埼玉県生まれ
1970 日本大学理工学部工業化学科卒業
1975 パリ国立美術学校絵画科ディプロム取得

個展
2019 s+arts (前Shonandai Gallery) (六本木/東京)
2018, 16, 14,12 ギャラリー檜B・C (京橋/東京)
2017 Shonandai Gallery
2017, 15, 13, 11, 08, 07, 05, 03, 98, 95 ぎゃらりー由芽 (三鷹市/東京)
2015, 2013 不二画廊 (船場/大阪)
2013 櫟画廊 (銀座/東京)  
2011 日仏会館 (恵比寿/東京)
2009 関口美術館 (西葛西/東京)
ブルースペース コンテンポラリー アートセンター (ホーチミン市/ヴェトナム)
2008 村松画廊 (京橋/東京)
2007 ギャルリー ヴェルジェ (相模原市古淵/神奈川県)
2006 村松画廊 (京橋/東京)
2004 マリンギャラリー (釡山市海雲台区/韓国)
1993, 91, 89, 87, 86, 85, 84, 82, 81  銀座スルガ台画廊 (銀座/東京)

グループ展
2018 Affordable Art Fair Brussels (ベルギー) / 出展: Shonandai Gallery
2017 CAF.N展 (埼玉県立近代美術館)
2015 東京の島々を結ぶ 第五回アートアイランズTOKYO2015(旧波浮小学校/伊豆大島)
2013 Between space and times (gallery IDM/ 釡山 )
2013, 11, 09, 08, 06, 05 CAF.N展 (埼玉県立近代美術館)
2007 BRIDGE展 (AKKO ART GALLERY/バンコク)
2006 サロン デ レアリテ ヌーベル 出品 (パリ)
2004 第四回C.A.T.展 (グリーンホール相模大野/相模原市) 
   「眼差しの東洋・手の記憶」-沖縄からの発信- (楚洲小中学校/国頭村)
   Contemporary Art form JAPAN(ハフナーボルグ美術館/アイスランド)
   モダンアート協会展 (東京都立美術館)
2003 「四人の日本人による絵画展」 (ブルースペース ギャラリー/ホーチミン市)
2003-01 グラン エ ジュンヌ ドウジュウルドウィ 出品 (パリ)
2002, 2000-1994 コンテンポラリー アート フェスティバル 出品 (埼玉県立近代美術館)
2000-1994 C,A,P,P,I,N,G展 (東京,釡山,蔚山,上海,横浜)
1992, 89-81 モダンアート協会展 (東京都立美術館)
1990-78 グラン エ ジュンヌ ドウジュウルドウィ 出品 (パリ)
1978   サロン コンパレゾン 出品(パリ)