Room 1
【 Naomi Kikuta solo exhibition 】
喜久田尚美 " MUKASHIGATARI "
2024.2.2(Fri) - 2.17(Sat)
日・月・火曜休廊
12:00-19:00 最終日17:00まで / The last day until 17:00
*レセプションパーティーはございません。
s+arts (スプラスアーツ)より、喜久田尚美 個展「MUKASHIGATARI」の開催をお知らせいたします。
キャンバスにアクリル絵の具とインクで描かれた背景にテーマごとのモチーフを展開させることで、独自の世界観を表現している喜久田尚美。先人の作品に接する事で感銘を受け、それを作者の解釈で再構築する事により、伝統を受け継ぎ変化を遂げながら継続していく、という琳派の継承方法とその作品に興味を惹かれて制作している作家です。
喜久田の制作テーマは「金魚」「微生物」「パフェ」と移り、近年では「物語」をテーマに作品を制作しています。テーマの変化とともに、金銀の地の上に色を重ねたり、変化を持たせるなど、モチーフの魅力を際立たせるように描かれた作品は、様々な要素を含みながらも細部に至るまで彼女の独自性やこだわりが見られ、丁寧に描かれています。
本展では、19世紀にスコットランドに生まれたAndrew Lang(アンドリュー ラング)の編纂した童話集をモチーフに描かれた作品群 を軸に展開いたします。第1巻のあおいろの童話集から第12巻のふじいろの童話集まで各巻に色の名前が付けられているのが特徴的 なラング童話の他に、グリム童話や中国の昔話など、喜久田が抜粋した物語の作品も含め、様々な物語が楽しめる展示となりました。
「空を眺めるのが好きだった。
高台にあった家の隣には空き地があって、学校帰りにそこからの空の景色をぼんやりと眺めるのが何より一番好きだった。 長い坂道を上って家にたどり着くほんの手前。広がる空に浮かぶ雲、渡る風、移ろう光、あかね色の夕焼け。そんな時、雲の上の世界を想像する。あるはずのない世界だと知ってはいても、そこには必ず私の国があった。
小さい頃、眠りにつく前に父はよくおはなしを聞かせてくれた。それは、いろんな物語がいっしょくたになった作り話で、私と妹を良く笑わせたものだ。母も寝る前におはなしを聞かせてくれたのだけど、母の選択は一風変わっていた。忘れられないのは「耳なし芳一」 のおはなし。あんな恐ろしいおはなしを、なぜ三歳や四歳ほどのちいさな子どもに聞かせたのだろう。私と妹は毎回震え上がったけれど、母は何度も繰り返しはなして聞かせた。怖いけれど聞きたい。その感情の底辺には、母の存在があったのだと思う。母に守られているから心配はないのだった。
昔ばなしは不思議に溢れ、脈絡がなく、あるときはとても恐ろしい。けれど、それを語り聞かせる人の愛情によって、怖さはあたたかい安心感に、弱さは勇気にかわり、やさしく強く希望を捨てない人に近づいていくのではないかと思う。 様々な物語を読んでいると、(聴いていても)、一行の文、ひとつの言葉に魅せられ、イメージが一瞬で浮かび上がる事がある。その一 瞬をとらえてキャンバスの上に描き出したいと思っている。 世界中の弱く小さな子どもたちが愛を受け、豊かな心を育み、安心して成長する事ができるようにと祈りを込めて、私の昔語りの世界 を送りたい。」--- 喜久田尚美
各物語から想像を膨らませ描かれた作品はどれも、昔話特有の不思議な雰囲気を醸し出しながらも、丁寧に、敬意をも感じられるような細かい描写で表現されています。これを機に、喜久田尚美の新作群を是非お楽しみください。
喜久田 尚美 Naomi Kikuta
北九州市生まれ福岡市在住
東京女子大学文理学部英米文学科卒業
九州大学芸術工学府修士課程修了
個展
2024 「MUKASHIGATARI」 s+arts (東京)
2022 「GRIMM」 s+arts (東京)
2020 「NELLA FANTASIA, atto II」 s+arts (東京)
2018 「NELLA FANTASIA」Shonandai MY Gallery (東京)
2017 「FANTASIA」 Gallery OGATA (福岡)
2016 「ASHITA NO YUME」 Shonandai MY Gallery (東京)
2015 「銀次元よりFROM A SILVER DIMENNSION」 Shonandai MY Gallery (東京)
2014 「KINGYOISM」 Shonandai MY Gallery (東京)
2013 「RHIZARIANS」 紺屋ギャラリー (福岡)
2012 「Cell」 リノベーションミュージアム冷泉荘ギャラリー (福岡)
パナソニックショールームめききギャラリー (福岡)
2008 「キンギョアワー」福岡県立美術館1階ギャラリー (福岡)
主なグループ展
2017 「三人展」 Meet Art Space (台湾)
2011 「福岡市美術連盟展コンテンポラリーアート展2011」 西日本シティー銀行本店ホール (福岡)
「ヨッチャンビエンナーレ」 OZC GALLERY (大阪)
2010 「P&E 2010 Group A」 ARTCOURT Gallery, Osaka (大阪) 「ART WAVE 福岡」 福岡アジア美術館企画ギャラリー (福岡)
2009 「福岡市美術連盟展」 福岡市美術館市民ギャラリー(福岡)
2008 「福岡市美術連盟展」 福岡市美術館特別展示室A室 (福岡)
「第5回池田満寿夫記念芸術大賞展」 大阪府現代アートセンター (大阪)
「福岡市美術連盟コンテンポラリーアート展」 西日本シティー銀行本店ホール (福岡)
「第5回池田満寿夫記念芸術展」 銀座洋協ギャラリー (東京)
2007 「福岡市美術連盟ノンセクショングループ展」 ギャラリー舞鶴 (福岡)
「福岡市美術連盟コンテンポラリーアート展」 西日本シティー銀行本店ホール (福岡)
「福岡市美術連盟展」福岡市美術館特別展示室A室 (福岡)
「第1回アクリル美術大賞展2007(大賞受賞)」 兵庫県立美術館原田の森ギャラリー(神戸)
「第11回リキテックスビエンナーレ」 青山スパイラルガーデン (東京)
2006 「第15回青木繁記念大賞展」 郡山市美術館 (福島)
「第15回青木繁記念大賞展」 石橋美術館 (福岡)
「第4回池田満寿夫記念芸術展」 (図録収載)
2005 「シオバルプロジェクト第4回グループ展」 福岡市美術館特別展示室B室 (福岡)
2004 「第20回城南区アート展 (区長賞)」 福岡市美術館市民ギャラリー (福岡)
「シオバルプロジェクト第3回グループ展」 福岡市美術館特別展示室B室 (福岡)
2003 「シオバルプロジェクト第2回グループ展」 イムズ・イリス (福岡)
「シオバルプロジェクト第1回グループ展」 福岡アジア美術館交流ギャラリー (福岡)
その他多数
アートフェア
2023 Asia Fukuoka Art Fair(福岡)
2022 Asia Fukuoka Art Fair(福岡)
2021 Asia Fukuoka Art Fair(福岡)
2018 Asia Fukuoka Art Fair (福岡)
Affordable Art Fair Hong Kong (香港) / 出展:Shonandai Gallery
2017 Art KAOHSIUNG (台湾) / 出展:Shonandai Gallery
Asia Fukuoka Art Fair (福岡)
2016 Art KAOHSIUNG (台湾) / 出展:Shonandai Gallery
Asia Fukuoka Art Fair (福岡)
2015 Art KAOHSIUNG (台湾) / 出展:Shonandai Gallery
Asia Fukuoka Art Fair (福岡)
Affordable Art Fair Singapore (シンガポール) / 出展:Shonandai Gallery
2014 Asia Contemporary Art Show (香港) / 出展:Shonandai Gallery
Art KAOHSIUNG (台湾) / 出展:Shonandai Gallery
受賞歴
2011 ヨッチャンビエンナーレ OZC GALLERY (大阪)
2010 P&E2010 Group A ARTCOURT Gallery, Osaka(大阪)
2008 第5回池田満寿夫記念芸術大賞展入選 大阪府現代アートセンター(大阪) 銀座洋協ギャラリー(東京)
2007 第1回アクリル美術大賞展2007(大賞受賞) 兵庫県立美術館原田の森ギャラリー(神戸)
2007 第11回リキテックスビエンナーレ入選 青山スパイラルガーデン(東京)
2006 第15回青木繁記念大賞展入選 郡山市美術館(郡山)
石橋美術館(久留米)
2006 第4回池田満寿夫記念芸術展 図録収載
2004 第20回城南区アート展 区長賞 福岡市美術館(福岡)