Room 2【Shiori Ichikawa / Nana Tsugawa exhibition】
“ blooming sensations “ 市川詩織 / 津川奈菜
2021.3.19(Fri) - 3.28(Sun) 会期中無休
12:00 - 18:00(最終日17:00まで)(The last day until 17:00)

※緊急事態宣言発令の解除に伴い、3.26(Fri) & 27(Sat)は19:00まで、最終日3.28(Sun)は17:00までの営業時間とさせて頂きます。
ご理解とご協力の程、宜しくお願い申し上げます。

*レセプションパーティーはございません。
*今後も急遽展示日程の変更等がある場合がございます。ホームページやSNSをご確認の上、ご来廊下さいますようお願い申し上げます。

左 : 津川奈菜 ” 喰われる子 ” 陶器 11×13×33cm 2020
右 : 市川詩織 ” 幽体離脱 ” フィルムにシルクスクリーン 31×39cm 2021

s+arts(スプラスアーツ)より、市川詩織と津川奈菜による二人展「blooming sensations」の開催をお知らせいたします。

市川詩織は、主に人間と動物の間に生まれる問題をモチーフに、ドローイングとシルクスクリーン版画の作品を制作しています。人間 と動物(主にペット)の間に立つ視点から人間社会を観察し、そこから見えてきた奇妙に思える出来事や一方的な逸話、そして人間の欲 望の鏡のように振り回される動物たちの問題について考え、その問題に対する人間の多様な答えの可能性の問いかけをのせて作品に しています。

市川の作品を前にすると、言語がないペット達に対して我々は確かな答えを得ることが出来ないまま、不毛な議論をすることを要され ることになるでしょう。「その議論は一見無意味に見えますが、議論をするそれぞれの人間のルーツや環境をお互いに知り、認め、一 緒にその答えを探していこうという過程を生みます。」と考える市川は、見る者が議論を始めるきっかけを作る装置としての作品を考 え、お互いに許し合い認め合う社会の足しになるようにと願い、制作を続けています。一見綿密に計画立てた上で制作に取り掛かって いるかのように見える市川の作品ですが、制作過程で版と支持体が起こすハプニングは、我々が考えつかないような価値観に出会っ た時のように、何かを気づかせ、内容を変更していくこともあると彼女は言います。シルクスクリーンで刷った作品を多く発表する本展 でも、孔版というメディアがもつ物体としてインクが支持体に落ちていく感覚を、自身の願いを外に押し出す感覚に重ねています。

津川奈菜の制作の要はドローイングから始まります。紙に鉛筆を使い、ひたすら描き/消すという触覚的な行為によって、意図していな かった脈略のない絵が浮かびあがると津川は言います。また、並行して制作を続けている陶芸作品においても、ドローイングから浮か び上がったイメージから派生したり、手で掴む触覚的な感覚を膨らませたりすることで形成されていきます。

津川のドローイングは全て、曖昧な印象を持ちながらも風景画のように見え、立体はそこから飛び出してきたキャラクターのようにも 見受けられます。しかしながら、実際に目に見た風景やモデルがいるわけではなく、日常の中で彼女が気にかけた出来事の感覚を、手 を動かすことで留めているのです。「そこには思いぐせや不条理さが同居しており、記憶に似た幽霊的な存在感を感じている。それら はダイレクトに知覚すると恐ろしい存在に感じるが、表現になることによって間抜けで愛着の湧くポジティブなものなるように感じて いる。」と津川は語ります。目で見るだけではなく、五感で捉え記憶しているものが、制作の中でもう一度ズレを生じさせながら、自身 が作ったものを通して現れるからこそ、作品から醸し出される独特の曖昧さをより魅力的にしているのでしょう。

両者の作品から受ける、動物や人型のモチーフなどの可愛らしい印象と、制作過程で起こる予想外の発見に作家自身の感覚を重ねる ことにより形成されているという事実が交じり合う展示となりました。これを機に、是非ご高覧くださいますようお願い申し上げます。


市川 詩織 Shiori Ichikawa

1993 埼玉県生まれ
2016 東京藝術大学 美術学部 絵画科 油画 卒業
2018 東京藝術大学 大学院美術研究科 絵画専攻 版画研究分野 修了

個展
2020 「SLEEPING INSTINCT」 Gallery Soumei-do(東京)
2019 「FUNNY BONE 」TAKU SOMETANI GALLERY (東京)
2018 「Hey Human...( ねえ人間 ...)」 TAGBOAT ( 東京 )
   「Shiori ICHIKAWA Drawing show!」 Nezu curry Luckey(東京)

グループ展
2021 「blooming sensations」 s+arts(東京)
2020 「s+arts summer exhibition」 s+arts(東京)
2019 「Sur and Smile」 s+arts (東京)
2018 「なでたような跡がある」 表参道画廊 ( 東京 )
2017 「Shotai Exhibition」 SO Fine Art Editions(アイルランド)
   NEON Gallery, Wroclaw(ポーランド)
   Medium Gallery, Bratislava(スロバキア)
   「ZURETA / INTERNATIONAL CONTEMPORARY PRINTED ART」上海美術大学(中国) / 東京藝術大学(東京)

受賞
2018 INDEPENDENT TOKYO tagboat 特別賞

津川 奈菜 Nana Tsugawa

1991 広島県生まれ
2013 尾道市立大学 芸術文化学部 美術学科 (油画) 卒業
2015 尾道市立大学大学院美術研究科絵画 (油画) 研究分野 修了

個展
2019 「三軒家のどろどろ」三軒家アパートメント(広島)
2017 「空き部屋の屑」前田荘(広島)
2016 「night forest」Gallery Bar 夢喰(広島)
2013 「博士は実験中」Gallery Bar 夢喰(広島)

グループ展
2021 「blooming sensations」 s+arts(東京)
2019 「BAZAR!」BANK BED GALLERY / Guest House DENCHI(東京)
2018 「SOUラボラトリィ」尾道市立大学サテライトスタジオ(広島)
2017 「フカンクウカン」MOU 尾道市立大学美術館(広島)
   「BankART AIR 2017 Open Studio」BankART Studio NYK(神奈川)
   「made in Koganecho vol.1」VACANT(東京)
2016 「黄金町バザール2016 アジア的生活」高架下スタジオsite-A ギャラリー(神奈川)
2015 「シューリョーテン②」光明寺會舘(広島)

受賞
2020 山口県立美術展覧会 大賞
2018, ʻ17, ʼ16 ワンダーシード 入選
2018, ʼ15, ʼ14 シェル美術賞 入選
2014 第29回ホルベイン・スカラシップ 奨学生 認定
2012 尾道市立大学卒業制作展 大学買い上げ賞
   トーキョーワンダーウォール 入選